
南極・ユニオン・グレーシャー · Senne
南極アイスマラソンの参加費22,500ドルに含まれるもの、含まれないもの
2026年12月13日、南緯80度で第21回大会が開かれる。第20回大会で初めて誕生した女性の総合優勝者、悪天候で足止めされた帰国便、10.55kmを4周する氷河コース。現地を走ったランナーの言葉から、このレースを読み解く。
2025年12月13日土曜日、南緯80度のユニオン・グレーシャー。シドニーから来た35歳の女性ランナーが、3時間48分43秒でフィニッシュラインを越えた。
南極アイスマラソンの20回の歴史で、女性が男女を通じた総合優勝を果たしたのは初めてだった。アルジャジーラの映像で、彼女はこう語っている。
「間違いなく、これまで体を使ってやったことの中でいちばんきつかった」 レースが終わっても、ランナーたちはすぐには帰れなかった。チリへの帰国便が天候で遅れ、待ちぼうけのランナーたちは1マイルを後ろ向きに走るレースを開いた。
ペンギンの着ぐるみで走ったカナダ人ランナーは、「フルマラソンよりずっと楽しかった」と話した。22,500ドルで南極への往復便は買えても、出発日までは買えない。
では、この大会にはどれだけの予算と休暇を見込むべきなのか。
Union Glacier, 南極
1プンタ・アレナスから青氷滑走路まで4時間。飛ぶ日は天候が決める

南極への玄関口は、チリ最南部の街プンタ・アレナスだ。2026年の日程は、12月9日までに到着、10日にブリーフィング、11日はプンタ・アレナス滞在、12日に南極へ移動、13日にレース、14日に帰還、15日にプンタ・アレナスを出発する流れとなっている。出発前には、防寒装備が南極の環境に対応できるか主催者がチェックする。
機体はBoeing 757。マゼラン海峡、ティエラ・デル・フエゴ、ドレーク海峡を越え、南緯66度で南極圏へ入る。着陸するのは、エルズワース山脈南端の青氷滑走路だ。
そこから改造バンでさらに8km移動すると、キャンプに着く。 なぜ遅延が繰り返されるのか。2023年の男子優勝者が、ポッドキャスト『The Kaleb Bryan Podcast』で説明している。
氷上の滑走路には、航空管制官も地上設備もない。パイロットは到着したその日のうちに離陸できなければならないため、24~48時間前から天候を見極める。「危険な風が吹く可能性が少しでもあれば、延期して、延期して、また延期する」。
彼が出場した年は予定どおり飛んだ。2025年は帰国便が足止めされた。
南極アイスマラソン20262026年12月13日(日) · D-62 · Union Glacier, 南極大会詳細を見る
Union Glacier, 南極
222,500ドルで買えないもの

2026年大会の通常参加費は22,500ドル。プンタ・アレナスと南極を結ぶチャーター便、南極へ飛ぶ日の空港送迎、出発前日のブリーフィング、キャンプでのテント泊と食事、25kgまでの手荷物、メダルと記念品、プロによる写真撮影が含まれる。では、含まれないものは何か。
プンタ・アレナスまでの往復航空券、市内のホテル代と食費、保険、衛星電話の利用料、遅延によって発生するすべての費用だ。 2027年大会はすでにエントリーを受け付けている。支払いは、エントリー時に7,500ドル、2026年12月1日までに7,500ドル、2027年6月1日までに7,500ドルの3回。
一括で前払いする場合は21,900ドルとなる。定員は航空機の座席数までで、先着順だ。 主催者のよくある質問には、南極便では数日の遅延が通常の範囲になり得ると記されている。
予定された帰還日の後、最低2週間は重要な予定を入れないようにも求めている。プンタ・アレナスのホテルは1泊50~300ドル。予算表の最後には、延泊数日分のホテル代も入れておく。
Union Glacier, 南極
310.55kmを4周する南極のマラソンコース。最後の2マイルは向かい風

コースはキャンプ周辺に設けられた10.55kmの周回を4周する。5kmごとにエイドがあり、折り返し地点には暖房の効いた大きな建物がある。標高700m。
極点側から10~25ノットの風が吹く。路面は大会前に圧雪されるものの、硬い氷の間に軟らかく崩れやすい雪が混じる。 2023年の優勝者は、1周を3つの区間に分けて記憶していた。
最初の数マイルは前を走る選手の足跡で路面が荒れ、バランスを取るだけで忙しい。周回後半は風がなく日も差し、むしろ楽しかったという。そして最後の2マイル。
「まっすぐ走って右に曲がると、風がまともに襲ってくる」。シューズには氷上用の滑り止めYaktraxを装着したが、走るうちに雪が解け、シューズはどんどん重くなった。 2025年の優勝者の記憶にも、風が残っている。
突然強くなり、向かい風の上りではウェアを脱ぐか着るか、判断を迫られ続けた。もう一度準備するなら、砂の上をもっと走るという。 足を取られる路面で、脚が重くなってから向かい風を4度受ける。
そのためのトレーニングが、このコースへの準備の出発点となる。
Union Glacier, 南極
42025年の女子優勝者は大会女子記録より19分遅かったが、男女総合で1位

男子の大会記録は2022年の2時間53分33秒、女子は2024年の3時間29分16秒である。2025年の総合優勝タイム、3時間48分43秒は女子記録より19分遅い。それでもこの年、男女を通じてそのタイムを上回る選手はいなかった。
主催者も大会案内に「優勝タイムは予測できない」と記している。 天候が毎年、レースの展開を変える。2023年は青空の下、午前11時6分にスタートしたが、風を含めた体感温度は氷点下25度の予報だった。
2024年は午前10時スタートで氷点下10度。主催者によれば、この時期のユニオン・グレーシャーの気温は氷点下10度から氷点下20度である。 制限時間はフルが10時間、ハーフが6時間。
主催者は、全員の完走を最優先すると明記している。2019年には84歳のカナダ人男性が、2025年には70歳のポルトガル人女性がフィニッシュラインを越えた。42.2kmを歩き切れるなら、10時間には十分な余裕がある。
Union Glacier, 南極
5太陽が沈まない南極キャンプに持っていくもの

「これがどれほどきついか、完全に甘く見ていた」。2025年の優勝者は、レース前夜に装備を試着しながらそう思ったという。ウェアは重ね着が基本だ。
上半身は保温インナー、フリース、防風シェル。下半身は保温タイツと防風パンツ。グローブの上にミトンを重ね、ライナーソックスの上にはウールソックスを履く。
顔はバラクラバとマスク、ネックゲイター、ゴーグルで覆う。主催者はシューズにトレイルランニング用を勧めている。 キャンプにはStarlinkのWi-Fiがあり、自宅とのビデオ通話もできる。
テントは太陽熱で暖められ、常に暖かい。室内はルームメイトと共用する。12月のユニオン・グレーシャーは24時間ずっと昼が続く。
2023年の優勝者は、氷に反射する日差しのため、走るときだけでなくキャンプ内を歩くときもゴーグルか濃いサングラスが必要だったと振り返る。持参せず後悔したのは、防寒用品ではなくアイマスクだった。夜も太陽が出ているため、なかなか眠れなかったという。
荷造りでは、防寒着の隣にアイマスクを1つ入れておきたい。
King George Island, 南極
6南極で走れるもう2つの大会、キングジョージ島の南極マラソンとアンタークティック・アイス・ウルトラ

南極でマラソンを走る方法は1つではない。2027年3月8日にキングジョージ島(King George Island)で開催されるアンタークティカ・マラソン(Antarctica Marathon)は、アルゼンチンのウシュアイア(Ushuaia)から船でドレーク海峡を渡って現地入りする。1995年に始まり、2回の航海に分けて受け入れる参加者は約360人のみ。
参加費は11,290ドルからである。2026年11月8日、クイーン・モード・ランドのシルマッハー・オアシス(Schirmacher Oasis)で開かれるアンタークティック・アイス・ウルトラ(Antarctic Ice Ultra)は、南アフリカのケープタウンを経由して現地入りする。ハーフから100マイルまで6種目があり、参加費は19,500ドル。
会場近くにはコウテイペンギンの生息地がある。 ユニオン・グレーシャーは、そのどちらとも違う。主催者は、この大会が南極圏外のキングジョージ島ではなく、南極大陸の内陸部で開催されることをあえて明記している。
さらに1行を添える。ここまで南に来ると、ペンギンも応援する観客もいない。 7大陸完走を目指すランナーにとっては、3大会とも南極である。
ペンギンと海を見たいならキングジョージ島。ペンギンも観客もいない大陸内部を望むなら、ユニオン・グレーシャーだ。
Antarctica Marathon®, Half-Marathon and Ultra-Marathon2027年3月8日(月) · D-147 · King George Island, 南極大会詳細を見る
エディターの選択
南極アイスマラソンはおすすめできる。ただし、カレンダーに余裕がある人に限って。22,500ドルは、キングジョージ島で行われる大会のほぼ2倍。
その金額で手に入るのは、飛行機で大陸の内陸部へ降り立ち、エルズワース山脈を眺めながら4周する1日だ。船から島へ上陸して走る南極レースとは、目にする景色が違う。苦しくなるたび、2025年の優勝者は「ほら、南極を走っているんだから」と自分に言い聞かせたという。
条件は2つある。まず、12月9日から少なくとも3週間を空けること。予定表上の1週間に、帰国後の2週間を加えるとそうなる。
休暇がきっかり1週間しかないなら、まだこの大会に出る時期ではない。次に、タイムを狙わないこと。制限時間は10時間。
歩いてもいい。
2026年大会の空き状況は、主催者に直接問い合わせるしかない。2027年大会は先着順なので、エントリーと同時に払う最初の7,500ドルが、順番待ちの列に並ぶ手段になる。
2回目の7,500ドルは2026年12月1日まで。
エントリー期間 · 宿泊施設
| 大会 | 日程 | エントリー期間 | INFO. |
|---|---|---|---|
| 南極アイスマラソン2026 | 2026年12月13日(日) | エントリー受付中 | 宿泊施設 · 大会詳細を見る |
| Antarctica Marathon®, Half-Marathon and Ultra-Marathon | 2027年3月8日(月) | エントリー受付中 | 宿泊施設 · 大会詳細を見る |
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